美女と野獣

美女と野獣ベルの母親はペストだったのか?魔女アガットの謎とは?

2017年に公開された実写版美女と野獣、ハリーポッターシリーズのハーマイオニー役として知られるイギリス人女優エマ・ワトソンがベル役を務めたことでも話題になりましたね!

実はこの実写版美女と野獣は魔女が変装した姿である物乞いのアガット、ベルの母親の死の真相などオリジナル要素が強く、オリジナルのアニメーション版を見たことがある人にとっても新しい発見が出来る作品となっています。

アニメーション版では冒頭にしか登場しなかった魔女、そして実写版で初めてその存在が明かされたベルの母親。この二人に隠された謎とはいったい何なのでしょうか?

美女と野獣のベルの母親はなぜ亡くなった?原因はペスト?


劇中ベルと野獣は野獣が魔女にもらったという、心が望んだ時と場所に移動できる魔法の本を使ってベルが生まれたパリを訪れます。

荒れた部屋の中で二人が見つけたのはペスト医師が身に着ける独特のマスク…魔法の力の影響か、二人が垣間見たものは顔にまで斑点が出来てしまったベルの母親がベルの父にベルを連れて逃げるように懇願する最期の場面でした。

このことからベルの母親が伝染病のペストでなくなったことは間違いないでしょう。

またその場面の時代が1723年ごろであると予想することが出来ます。

美女と野獣の原典であるフランスの民話『美女と野獣』(原題)La Belle et la Beteは1740年にヴィルヌーブ夫人により書かれました。

フランスマルセイユでペストが大流行し始めた時期はこれより二十年前に当たる1720年です。劇中母親のもとを去るシーンでのベルはまだ赤ちゃんであり、成長後は17歳と設定されています。

原典が出版された年である1740年にベルが野獣に初めて出会ったとするとベルの母親が亡くなったのは1723年であると考えられるのです。

ベルの母親が亡くなったとされる原因のペストとは...

ペスト(黒死病とも呼ばれる)は美女と野獣の舞台となった時代において死の象徴としても知られていた致死率の非常に高い伝染病。

ペスト菌に感染した犬や猫の血を吸ったノミが人間の血を吸うことで刺し傷から感染する。人から人の感染も…

更に18世紀ヨーロッパの劣悪な環境がその伝染を後押ししたのではないかとも考えられます。想像するだけで恐ろしいですね

美女と野獣の魔女アガットとは?ベルの母親って本当?


ベルの住む村で物乞いをして暮らす女性アガット。

その正体は、わがまま放題に暮らしていた王子に野獣になる呪いをかけた魔女その人。

実写版オリジナルキャラクターであるアガット(アニメーション版でも冒頭で魔女が出てくるが、アガットとしての演出は実写版のオリジナル)彼女には映画を見終わっても残る謎がいくつもあります。

その一つが魔女とベルの母親は同一人物なのではないかというもの。

魔女アガットとベルの母親の雰囲気が似ている

まず演じている女優について、アガット/魔女を演じたのはHattie Morahan (ハッティ・モラハン)。

対してベルの母親を演じたのはZoe Rainey (ゾーイ・レイニー)とそれぞれ違う女優が演じています。

病床に伏せるベルの母親とアガットを見比べると雰囲気が何となく似ている気もします。

ベルの母親が映るシーンはとても短い上、画面が暗いので一見するとアガットのように見えるのかもしれませんね

もう一つ有力なのは、ベルと野獣が魔法の本を使ってパリの家を訪ねるシーンで、ベルが手に取った母親の形見がバラをかたどった物であったことです。

それはベルの母親がベルの父親とベルとの別れの間際に持っていたものであり、魔女が野獣に呪いをかけた際渡した花も薔薇。

そして、ベルと野獣の二人の物語が始まるきっかけとなった、モーリスが盗もうとした花も薔薇…と物語の要所に薔薇の花が登場することからベルの母親こそが野獣に呪いをかけた魔女なのではないかと言われ始めたようです。

また森でガストンとル・フウに置き去りにされてしまったモーリスを見つけ介抱したのもアガットであったことからこのような噂が生まれたのではないかと思われます。

アガットはベルの母親ではなくあの人の母?

一方魔女の正体はベルの母親ではなく野獣の母親ではないかとの説もあります。

劇中、愛する人を亡くしたのはベルだけではありません。優しかった王子(後の野獣)が母を亡くした後父親の育て方もあり映画冒頭のわがままな性格になってしまったことが語られていますね。

このことから息子にもう一度愛を教えるために魔女として生まれ変わり、敢えて呪いをかけたのではないかと言う説が有力です。

劇中魔女が出した薔薇の花弁が落ちきるまでに愛し愛されるという条件にぎりぎり間に合わず命を落としてしまった野獣ですが、その前に魔女が現れ呪いを解き野獣を生き返らせます。

このことからも最初から魔女は王子を永遠に野獣として罰するつもりだったのではなく、むしろすべては彼を助け元の優しい王子に戻すために行ったことだったのではないでしょうか?

魔女アガットの正体は公式スピンオフ小説に答えがある?

実写映画の設定をもとに、劇中の幕間を描いた小説(原題)Lost in a book /Jennifer Donnelly 著

愛”と”死”の姉妹が薔薇の花弁が全て落ちるまでに野獣が変わることが出来るのかという懸けをします。

この中で”愛”が次のような言葉を口にします。

”My enchantress transformed the inner. His suffering will teach him kindness and compassion. he’ll find his heart again.”

私の魔女が彼の内面を変えるために外見に魔法をかけた。苦しめば優しい心と思いやりを思い出すはず。

また同小説内で”愛”が自分は野獣を小さいときから見ていた。

母親が死んだあと心を隠すしか生き残る道がなかった。

誰にでも二度目のチャンスは必要。などと言った発言をしていることから、”私の魔女が魔法をかけた”という発言における”私の魔女”とは自分の分身のような存在とも受け取ることが出来ます。

まとめ


アガット/魔女の正体は劇中でははっきりとされていません。

しかしあえてはっきりと正解を示さなかったのは制作側の意図であり、見る人によって捉え方が違っていてもいいというメッセージではないかと私は思います。

次回美女と野獣を見るときには、謎の多いキャラクター、美女の母親とアガットに注意をおいて観てみてはいかがでしょうか?